院長挨拶
日頃は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。新たな年度を迎えるにあたり、総合大雄会病院院長として改めてご挨拶申し上げます。
さて、私も院長に就任して3年目に突入しました。これまでの2年間を振り返りますと、コロナ禍の真っ只中で院長になり、毎日報道される新規感染者数に一喜一憂し、様々な制約がある中で病院運営を行い、さらにポストコロナに向けてシン大雄会創成プロジェクトをスタートさせた・・・まさにコロナとともに歩んで来た2年でした。昨年の5月に季節性インフルエンザと同じ分類へと変更され、世間でも大きく騒がれることはなくなりましたが、コロナが消えてなくなったわけでなく、単にその存在が目立たなくなったにすぎません。最近よく「コロナ明け」という言葉が用いられますが、これは、この先消えることのないコロナと上手く付き合いながら、これまでの生活に近づけていくことを指す言葉であることを、今一度ご確認いただきたいと思います。一方で、コロナが残した爪痕はあまりに大きく、決して癒えるものではありません。この大きな爪痕と共に暮らすポストコロナと呼ばれる時代を生き抜く手腕が、今の私に問われているのだと心得ています。
日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新し、日本経済の復活を印象づけています。政府主導で進められてきた賃上げも広く浸透しつつあり、賃金と物価の好循環が確認されたとし、日本銀行はこれまでの金融緩和政策を大きく転換しました。これは日本全体にとっては喜ばしいことですが、慢性的な人手不足に悩む医療・介護の業界では非常に悩ましい問題であります。医療・介護のサービスは、その対価が公定価格で決められており、物価や人件費が上がり続けるインフレ時代においては、その上昇分を転嫁できない仕組みになっています。決められた財源の中で、サービスの質を落とすことなく、必要な人材を確保し、かつそれに従事する人たちの処遇を改善していくという、複雑怪奇な連立方程式を解かねばならないのです。この解は、おそらくこれまで以上の効率化を押し進めることでしかなく、これこそ、現在進行中のシン大雄会創成プロジェクトの本質なのです。
シン大雄会創成プロジェクトでは、診療科の組換え、建物の新築工事、病棟や大雄会クリニックの改築工事などが、同時多発的に進められております。また、昨今の事情により、工事期間が当初の見込みより数ヶ月遅れることが予測されております。地域の皆さまにおかれましては、その間ご不便をおかけすることがあるかもしれませんが、どうかご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
私たち大雄会は今年創立100周年を迎えます。この地に100年存在し続けられたことを感謝しつつ、100年の歴史に恥じぬよう、これからも精進を続けて参る所存です。そして次の100年も地域の皆さまに必要とされる存在であり続けたいと思っておりますので、引き続きご愛顧賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
総合大雄会病院院長