ハイパーサーミア
総合大雄会病院は2018年6月より、ハイパーサーミア(がん温熱療法)による治療を行っています。
ハイパーサーミアとは?
高周波によりがん細胞を加温し、がん組織だけを死滅させる治療法で、副作用がほとんど無いので身体の負担が少なく済みます。加温による直接効果のほか、一般的ながんの治療である手術治療、抗がん剤を用いての化学療法、放射線治療と併用することで、がん治療の効果を高めます。
がん細胞への直接効果
42.5℃以上の加温では細胞死が誘導されます。正常な組織よりもがんの組織の方が加温されやすい状況を利用します。
温熱療法の併用は他の
がん治療の治療効果を高めます。
体の深い場所については42.5℃以上まで加温することは容易でないこともあります。しかし、40~42℃程度の低い加温でも放射線治療や化学療法の効果を高めることが分かっています。
各治療と温熱療法の併用
手術
がんが大きい場合、手術をする前に化学療法や放射線治療を行う場合があります。そのような術前治療に温熱療法を併用することで根治の可能性を高めます。
放射線
放射線によりダメージを受けたがん細胞の修復が加温により阻害されます。42℃以上で放射線増感効果は特に顕著です。また、放射線が効きにくい環境(低酸素、低pH)のがん細胞は熱に弱いとされており、両者の併用で治療効果が増強されます。
化学療法
加温により抗癌剤ががん細胞に取り込まれやすくなることで、治療効果を高めます。40℃程度の比較的低い温度でも増強効果が認められます。通常量の抗癌剤が使えない方でも少ない量の抗癌剤で治療効果を得られる場合があります。
どんながんに効果がありますか?
脳・眼球を除く全ての部位に適応できます。理論上はあらゆるがんに有効ですが、実際には温めやすいもの、温めにくいものと様々です。温度の上昇さえ得られれば、がんの種類にかかわらず有効と考えられます。
※白血病は血液のがんであり加温できないため治療の対象外となります。
治療に適さない方
以下に該当する方は治療を行うことができません。
- ・全身状態不良の方、加温に耐えられる体力が無い方
- ・重度の心疾患、腎疾患、その他併存疾患をお持ちの方
- ・意思疎通ができない方(熱中症に陥るなどリスクが大きい)
- ・ペースメーカーや加熱部位にステント等が挿入されている方
- ・妊娠中の方
- ・加熱部位に大きな金属がある方(小さな金属は問題とならない場合もありますので、お問い合わせください)
治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
ハイパーサーミアは保険診療で治療を受けられます。一連の治療毎に下記の治療費がかかります(病状や併用する治療によっても異なりますが、おおよそ2~3ヶ月が一連となる場合が多いです)。
体の表面に 近いがん |
体の深部に あるがん |
|
---|---|---|
1割負担の方 | 6,000円 | 9,000円 |
3割負担の方 | 18,000円 | 27,000円 |
※診察代など別途料金がかかります。
治療を受けるにはどうすれば良いですか?
主治医の先生に情報提供書をいただき、病院連携室経由で放射線科医師の予約をお取りください。
現在の体調や提供頂いた病状などの情報をもとに、担当医が治療可能かどうかを判断いたします。
※温熱療法併用によるメリットが少ない場合には、紹介元での治療継続をお勧めさせていただく場合がございます。
ハイパーサーミア(がん温熱療法)は治療のために入院をする必要がなく、日帰りで治療を受けていただくことが可能です。副作用や治療後の負担もほとんどありません。がん治療でお悩みの方、がん温熱療法を受けたい方は、主治医にご相談ください。