2024年11月01日
お知らせ外科 臨床副院長 兼 医科学研究所 所長・野中 健一医師の論文が医学雑誌「Medicine (Baltimore)」に掲載されました
外科 臨床副院長 兼 医科学研究所 所長・野中 健一医師の論文が医学雑誌「Medicine (Baltimore)」に掲載されました。
【掲載誌】
Medicine (Baltimore). 2024 Jul 26;103(30):e38688.
【掲載タイトル】
Development of Fournier’s gangrene after chemotherapy for the recurrence of testicular cancer
despite the absence of anorectal lesions: a case report
(特に直腸肛門部に病変が無いにも関わらず、精巣癌再発に対する化学療法後にフルニエ壊疽を来した一例)
【概要】
本症例はHBV-DNA陽性であったため、テノホビルを使用してHBV-DNAが正常値化した後に精巣癌再発に対する化学療法を施行しました。ところが、化学療法による著しい骨髄抑制が生じた後、フルニエ壊疽を発症しました。
通常フルニエ壊疽は、傷や腫瘍から特定の細菌が軟部組織に侵入することで発生します。本症例は、特に直腸肛門部に傷や腫瘍性病変を認めないにも関わらず細菌が軟部組織に侵入しました。恐らくその最大の理由は、化学療法後に生じた著しい骨髄抑制です。もう一つの理由として考えられるのは、HBs抗原が高値の場合、好中球からのNET (neutrophil extracellular trap)放出が抑制され細菌に対する抵抗力が弱まった可能性が有ることです。
HBs抗原高値の患者に対して化学療法を行った後に、著しい好中球減少、肛門周囲の激しい疼痛、および肛門周囲皮膚の暗紫色の変色を認めた場合、フルニエ壊疽の可能性を考慮すべきと考えられました。