機能を再編し、医療の効率化を実現する「シン大雄会創成プロジェクト」

日本の医療機関の多くは、「急性期」「亜急性期」「回復期」「慢性期」というように、それぞれ機能が分かれています。私たち大雄会には、徒歩圏内に「総合大雄会病院」「大雄会第一病院」「大雄会クリニック」と複数の病院施設がありますが、ここでも大まかな役割分担はしております。しかし、患者さま、ご利用者さまやそのご家族、さらには大雄会で働く私たちスタッフにとっても、もっと効率的な構図にできるのでは？という部分もまだまだあります。このような状況の中、“大雄会の病院機能を再編し、より効率的に運用できる医療環境を整備しよう、生まれ変わろう”というプロジェクトが立ち上がりました。将来的には、総合大雄会病院は「高度急性期」「急性期」に特化した病院に、そして大雄会第一病院は「亜急性期」「回復期」に特化した病院に…というように、病院ごとの機能を再編し、その役割を今まで以上に明確にして参ります。また、医療機関においてもその資源（ヒト･モノ）は限られていますが、病院ごとの役割･機能を明確に分けることができれば、限られた資源の有効活用にも繋がります。このように、私たち大雄会の各施設の病院機能･役割を再編し、医療の効率化を目的として、今私たちが取り組んでいる新しいプロジェクト、それが「シン大雄会創成プロジェクト」です。

将来的に、総合大雄会病院は高度急性期・急性期へ、大雄会第一病院は亜急性期・回復期へ特化。

必要なのは、時代のニーズにあわせて変わり続けること

時代のニーズ･環境の変化に応じて、私たちも「変わる」「変わり続ける」必要があります。そしてその変化を経て、組織はより強化されていきます。医療業界においても、未知のウイルスなど変化がわからないものもありますが、現時点で確実にわかっている変化もあります。それは「人口構造の変化（＝少子高齢化）」です。2025年、全ての団塊の世代が後期高齢者になる時代に突入します。これにより医療へのニーズも当然変わります。一般的に、働き盛りの若年層には「脳梗塞」や「心筋梗塞」などに代表される「急性疾患」が多くみられます。一方、お年寄りの方々には「誤嚥性肺炎」「認知症」などの「慢性疾患」が多くみられます。今後、人口構造の変化にあわせて疾患全体の構成比も変化するので、もし今の体制のままだと、時代のニーズに応じた病床を提供することができない、ということになります。大雄会の2つの病院、それぞれを拠点として機能の再編をすることにより、この先必要とされる医療環境を適切に整備できるはずです。一例をお話します。総合大雄会病院で急性期疾患の治療が終わった後、すぐにご自宅に帰れない患者さまもいらっしゃいます。そういう患者さまには、まずは大雄会第一病院に移っていただきもうしばらく様子をみさせていただく、そしてその間に、ご自宅へ戻れるかあるいは他の施設に移るかの調整をする…ということも可能になります。こういう調整が、同じ「大雄会」のグループ内でできるのであれば、患者さまも安心できますし、患者さまの情報をストレスなくすぐに共有できる我々スタッフ同士も連携がとりやすく、とても効率的です。

地域の皆さまのため、目指すは地域連携型医療

しかしながら、やはり自分たちのグループだけで医療を完結するには限界があります。無理して一つの医療機関（グループ）でやり切ろうとしても、必ずどこかで負荷がかかり確実に継続できるという保証はありませんし、それこそ時代のニーズに適しているとは言えません。重要なのは、地域の他の医療機関との連携を密に図ること、すなわち“地域連携型医療を構築すること”です。自院でできることは可能な限り自院でやる、どうしても自院ではできないことは、それができる地域の医療機関へお繋ぎする。同時に、日常的にかかりつけの医療機関に診てもらうべき疾患などについては、我々から開業医の先生方へ「紹介」という形でお繋ぎする。「点」から「線」へ、そして「面」へ、医療機関同士の連携を強めることこそが、地域の医療を守るための最適解であると考えます。ただ治すだけではない、その後の患者さまの幸せのためにも、医療のネットワークを広げることができれば、患者さまも慣れ親しんだこの土地で、安心してずっと暮らすことができます。地域の皆さまのためにその方法を考え、その環境を構築･提供するのが、我々医療者の責務です。幸いなことに、ここ尾張西部医療圏、特に一宮市は医療体制が元々しっかりしている地域です。その中で更に、変わりゆく時代のニーズに合わせて私たちも変わっていく。地域の皆さまから必要とされてこそ、医療機関としての存在意義があると考えております。

変わり続ける大雄会

お話した通り、私たち大雄会の中でも新しい建物を建築したり、外からは見えにくいですが院内の改修も順次進みつつあります。この「シン大雄会創成プロジェクト」、完結は2025年を想定しています。これも時代のニーズに合わせて生まれ変わる、変わり続けるための準備であり、過程です。これからの大雄会に、どうぞご期待ください。

総合大雄会病院南側に建設中の大江棟（今秋完成予定）。