2020年10月21日
お知らせ小児科・増田雄医師の症例報告が医学雑誌「小児科臨床 Vol.73 No.10 2020」に掲載されました
小児科・増田雄医師の症例報告が医学雑誌「小児科臨床 Vol.73 No.10 2020」に掲載されました。
こちらは増田医師が前任病院勤務時に報告した症例です。
詳細は以下の通りです。
【雑誌名】
小児科臨床
【論文タイトル】
Staphylococcus lugdunensisによる乳児の尿路感染症の1例
【概要】
Staphylococcus lugdunensis(S. lugdunensis)は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の一種であり、1988年に報告された比較的新しい菌種です。S. lugdunensisは皮膚に常在している細菌であり、肛門周囲や会陰部での保菌が多く、従来は皮膚に常在している他の黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌に比べて病原性が低いと考えられていました。しかし、侵襲性感染症が繰り返し報告され、現在は黄色ブドウ球菌と同程度の病原性を持つと考えられています。小児におけるS. lugdunensis感染症の報告はまだ少なくその実態は十分に解明されていませんが、S. lugdunensisによる尿路感染症の乳児例を経験したので報告しました。
症例は日齢29の男児で、胎児期に右水腎症(尿の通り道や腎臓の中に尿が溜まって拡張した状態)を指摘されていました。発熱を主訴に来院し、抗菌薬の点滴静注で治療を開始しましたが、尿および血液の細菌検査でS. lugdunensisが検出されました。退院後は抗菌薬の予防内服を行っていましたが、尿路感染症を2回再発しました。尿路精査で右側の膀胱尿管逆流異常(腎臓から尿管、膀胱へと流れていく尿が、排尿するときに膀胱から尿管、腎臓へと逆戻りする現象)および尿道狭窄を認めたため他院に紹介し、生後6か月時に外科的治療を行っています。S. lugdunensisが尿の細菌検査から検出された場合には、安易にコンタミネーション(検体汚染)と判断せず、病原菌として治療することを考慮すべきであるため、今回症例報告をしました。
小児科のページはこちら
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小児科臨床 Vol.73 No.10 2020
http://shoni-iji.com/paper/paper73/paper-73-10.html