下肢静脈瘤とはどんな病気ですか?
出産経験のある成人女性の2人に1人が発症すると言われています
足にある静脈に血液がたまって、血管がこぶ(瘤)のようになった状態を言います。下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり命にかかわることはありません。しかし、足のだるさ、むくみ、こむら返りなどの症状や、見た目が気になるなどで受診される方が多いです。まれに湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍(かいよう)ができ重症になることがあります。このような方は、できるだけ早く受診されることをお勧めします。
また40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していく傾向にあります。15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人が認められたとの報告もあります。出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症すると言われており、実は身近な病気です(※2)。
また40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していく傾向にあります。15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人が認められたとの報告もあります。出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症すると言われており、実は身近な病気です(※2)。
※1 平井正文,久保田仁,川村陽一他 脈管学 28: 415-420, 1989
※2 平井正文,牧篤彦,早川直和:妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261, 1997
※2 平井正文,牧篤彦,早川直和:妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261, 1997
どんな症状が出ますか?
- 足がむくみやすい
- よく足がつる(こむら返り)
- ふくらはぎがだるい
- 足の血管が浮き出て見える
- 足にかゆみや湿疹がある
- 足がほてる・熱く感じる
- 足首あたりが黒ずんできた
- 足がむずむずする・不快感がある
- 足に潰瘍(皮膚が破れる)がある
※上記は一例です。
どんな見た目をしていますか?
下肢静脈瘤には、大きく分けて4つの種類があります。
ボコボコとこぶ(瘤)になる「伏在型静脈瘤」・「側枝型静脈瘤」、青や赤紫に浮き出る「網目状静脈瘤」・「くもの巣状静脈瘤」があります。
ボコボコとこぶ(瘤)になる「伏在型静脈瘤」・「側枝型静脈瘤」、青や赤紫に浮き出る「網目状静脈瘤」・「くもの巣状静脈瘤」があります。
どんな人がなりやすいですか?
- 女性
- 立ち仕事をしている方(調理師・美容師・販売員など)
- 肥満・運動不足の方
- 中高年者
- 妊娠・出産経験がある方
- 親や兄弟姉妹が下肢静脈瘤の方
※上記は一例です。
原因は何ですか?
下肢の静脈には、重力によって血液が足先へ逆流しないように弁がついていますが、弁が壊れると血液の逆流が起こり、うっ血が生じて血管が拡張したり、血流が蛇行することにより、こぶ(瘤)ができます。これが下肢静脈瘤の原因です。
下肢静脈瘤の治療にはどんなものがありますか?
1.医療用弾性ストッキング(保存的治療)
弾性ストッキングは、足を締めつけて、ふくらはぎの筋ポンプ作用を助けることによって静脈還流を促し、足に血液がたまるのを防ぎます。この圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的で、静脈瘤そのものが治るわけではありません。
2.硬化療法(静脈に薬を注射をして固める)
下肢の静脈瘤に薬を注射して固める治療です。固めた血管が硬くなることから硬化療法と呼ばれています。硬化療法は軽症の下肢静脈瘤には有用性の高い治療法ですが、進行した静脈瘤には治療効果が期待できない場合もあります。
3.高位結紮術(しばる)・ストリッピング手術(引き抜く)
高位結紮術は足のつけ根で血管をしばって、血液の逆流を食い止める手術です。ストリッピング手術は、足のつけ根と膝の内側を切って、静脈の中に細いワイヤーを入れてワイヤーごと静脈を抜き去る方法です。どちらも高い治療効果が期待できますが、手術後の「痛み」や「出血」などのリスクがあるとされています。
4.血管内焼灼術(レーザー・高周波治療)
血管内焼灼治療は、静脈を引き抜いてしまうかわりに、静脈を焼いてふさいでしまう治療です。局所麻酔で細い管を差し込むだけなので、体に負担が少ない低侵襲治療です。高周波(ラジオ波)を使う高周波治療と、レーザーを使うレーザー治療があります。ともに保険適用されています。